摩尼宝塔



[高野山・成福院摩尼宝塔 / 2012.1.1]

高野山の滞在中、壇上伽藍と奥の院へは毎日歩いて通ったが、もう一つ、毎日行った場所がある。
それが成福院の摩尼宝塔。

一階の回廊は美術品の展示がされ、中心に本尊がある構成。
入り口にこの建物の発願者の言葉があり、その考えには感動した。

しかし極めつけは、この地下だった。
塔の地下にも回廊があり、そこは完全な暗闇である。
その回廊沿いに、いくつかの仏像が妖しく鎮座している。

鳥肌が立った。
この場所は、未だに言葉にできない異様さがある。
江戸川乱歩の小説の世界、とでも言ったらいいか。
全くの異域に行く思いがしたが、しかし、「宗教体験」とはこういうものを言うのかもしれない。

毎日、一人で怖さに怯えながら地下へ潜った。
が、その暗闇で、涅槃像らの前で手を合わせている時間は、安らかだった。
密教のいう、宇宙と一体化する、というのもあながち分からないでもない。
そして、仏はここでずっと待ってくれていたんだ、と感じた。

と、コレを読むと、なんともアブナい感じに聞こえるかもしれない。
が、摩尼宝塔での体験は、海外旅行並みにカルチャーショックであった。
高野山は、いろいろな経験をさせてくれる。